17日午後10時15分ごろ、京都市東山区下河原町の高台寺の境内で建物が燃えているとの119番通報が付近の住民からあった。京都府警東山署によると、本堂の西側にある木造平屋建ての物置小屋約100平方メートルが全焼したという。隣接する耐火ポンプ小屋も一部が焼けた。文化財の焼失はなかったという。
 市消防局によると、現場には消防車約20台が出動して消火にあたり、10時45分ごろ鎮圧したという。
 付近に住む会社員の男性(56)は「家の外でパチパチという音に気付くと、高さ10メートルほどの大きな火の手が上がり、手のつけられない状態だった。とても驚いている」と話した。
 高台寺の後藤典生執事長(66)は「寺では長い間、火災がなかったので非常にショックを受けている。ただ文化財に被害がなく、ほっとしている。出火原因が早く明らかになってほしい」と話した。
 高台寺は臨済宗建仁寺派の寺。1606(慶長11)年、豊臣秀吉の正室・北政所(きたのまんどころ、ねね)が夫の霊を弔うために創建した。寺の名前は、ねねが後陽成天皇から受けた「高台院」の号にちなむ。徳川家康の財政的な援助を受けて整備された。
 数度の火災によって大部分は焼失したが、秀吉とねねをまつる霊屋(おたまや)や開山堂、茶室の時雨(しぐれ)亭と傘(からかさ)亭(いずれも国重要文化財)などが創建当初から残る。開山堂を中心に東西に広がる庭園は小堀遠州作といわれる。